20160105

Top 10 art exhibitions of 2015.

あけましておめでとうございます。

遅ればせながら2015年に実際に見た展覧会トップ10を書き出してみました。
展覧会評というより私の趣味的なものですが、備忘録も兼ねてあげていこうとおもいます。

1.DOUG AITKEN at Frankfurt Schirn Kunsthalle (Frankfurt am Main)

2.Soundscapes at National Gallery (London)

3.Hanger Biacca (Milan)

4.Dismaland (Weston-super-Mare)

6."LA MER INSOMNIAQUE"at Laura Bartlett Gallery (London) 

7.1st Asia Biennial / 5th Guangzhou Triennial "Asia Time" at Guangzhou Museum of Art (Guangzhou, China)

8.Spanish Pavilion at 56th Venice Biennial (Venice)

9."searching-devices" at basis e.v. (Frankfurt am Main)

10."Tokyo Art Meeting VI “TOKYO”:Sensing the Cultural Magma of the Metropolis" at MOT (Tokyo)


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1.ダグ・エイトケン フランクフルト・シルン美術館
最新のテクノロジーを駆使した映像インスタレーションをメインとした展示。
円形の巨大スクリーンを使った作品は新鮮な映像体験でした。
内側も外側も映像が流れることによって、観客は映像に「包まれる」ことも、「眺める」こともできる。
トレイラーもしっかり作られていたので興味のある方はぜひ。

2.サウンドスケープス ロンドン・ナショナルギャラリー
ナショナルギャラリーは中世やルネッサンス期の作品の展示が多く、企画展も興味を惹かれるものが少ないのでいつもスキップしていたが、今回ふらっと立ち寄ってみるととても新鮮な試みがされていた。
ルネッサンス〜印象派あたりのいわゆるマスターピース(セザンヌなど)一点と音をテーマにする作家(スーザン・フィリップスなど)のサウンドスケープを組み合わせて展示するというもの。
一枚の絵と音が共鳴する贅沢な空間で、ある意味「見飽きた」作品に新しい見方を与えることに成功していた。
作品を別のペースペクティブを持つものと展示し、新鮮味を持たせる手法を取った展覧会といえば、ロンドンオリンピックの年にグレイソン・ペイリーが大英博物館にて博物館のコレクションと自分の作品を組み合わせた展覧会が話題となり、美術館・博物館のアーカイブを使った展覧会の流行を加速させる形となった。(チケットが完売していたため大英博物館会員になりその展覧会を見たが、今でも印象に残る素晴らしい展覧会だった。)しかし、前回のベネチア・ビエンナーレの同時期にプラダ財団で行われた "When attitudes become form: Bern1969/Venice 2013”の再演を絶頂にアーカイブ展への新鮮味が薄れてきた中、この展覧会は異色なものであったと思う。
こちらも実際に展覧会場で流れていた作家のインタビューがyoutubeにありました。
3.ハンガー・ビコッカ
これは展覧会がよかったというか、建築含め、場がとても良かった。
キーファーのパーマネントがあることで有名な、ミラノ郊外の巨大倉庫群を改装したプロジェクト・スペース。
ミラノ中心部から電車に乗って数十分、そこからバスに乗ってまた数十分のアクセスの悪いところ(いわゆる移民の多い郊外)に位置していたが、一歩建物内部に入るとオシャレなミラノっ子のたまり場になっていた。
展示室は仕切りのない大きな場で贅沢に空間が使われ、私か見た時はJuan MuñozとDamián Ortegaが展示されていた。オルテガは2012年にロンドンのWhite Cube Mainson's Yardの展覧会と同じ作品がいくつか展示されていたが、今展の方が広くて薄暗い空間とマッチしていてずっと迫力があった。

現在はPhilippe Parrenoが展が開催中。とても見に行きたい。。。。

4.ディスマランド
様々な意味で「バズった」ことを考慮して4位。
実際に行ってみると展覧会としての完成度は高くなく、遊園地(エンターテイメント)としてはつまらないものだった。ディスマランドは実際に行くよりも、SNSなどで情報やビデオを見て関連する情報を見るのが健全な楽しみ方なのではないかと思う。
それくらい、ディズマランドのSNS戦略は見事なものだったし、日本から世界に情報を発信する際のストラテジーとして参考になるものだった。
同時期にカーステン・ヘラーがヘイワードギャラリーで開催されていて、図らずも遊園地的展覧会巡りになってしまったが、ヘラーは美術館で展示し、彫刻やビデオ作品も多くあったため、よりアートとして鑑賞ができた。
http://carstenholler.southbankcentre.co.uk

7.第一回アジアビエンナーレ/第五回広州トリエンナーレ
広州トリエンナーレを第一回アジアビエンナーレとして開催。
「アジア」を空間的にも時間的にも再考しようとする試みだった。
政治的なものが多く、慰安婦のアーカイブや戦争に関するものなど作品の傾向としては偏りがあったが、アートによって政治的問題も含め「アジア」を捉えようとする姿勢には好感を持った。
また、日本で「アジア」というと日中韓に焦点を置いたものがほとんどだが、シンポジウムにおいてもモンゴルの表現に関するパネルが開催されるなど、「アジア」の定義付けにも興味を惹かれた。
ただし、中国本土で行われているため、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックが規制され、ほとんどSNSによって情報が流れないのが残念です。。

8.スペイン館・ベネチアビエンナーレ
今回のビエンナーレは今ひとつ。
いわゆる「第三世界」をメインテーマにする難しさが前面に出てしまっていたように思う。
そんな中でも私の好みだったのがスペイン館。
ダリをテーマに複数のアーティストのキュレーション展だったが、Pepo Salazarの作品がとてもよかった。

9.サーチング・デバイシーズ basis e.v.
2008年にフランスフルトにできたプロジェクトスペースでの展示。
気になっていたmikkel carlの作品を見ることができてよかった。
デジタル世代の新しい表現を模索する意図があったようだが、そのコンセプトは展示を見ただけでは受け取るのは難しかった。
いわゆるポスト・インターネット世代をまとめて見ることができるという意味で有意義だった展示。


番外編
クレマチスの丘
三島にある文化地区。晴れの日に行ったので風も日差しも心地よく、とてもいい思い出になった。ヴァンジ彫刻庭園美術館の野外展示が印象に残っている。

squarepusher 
恵比寿ガーデンプレイスにて11年ぶりの来日公演。前座は真鍋大度。
圧巻のプレイとVJだったが、最後の着ていた衣装を脱ぎスクリーンをオフにしてのギターパフォーマンスにはぐっときた。

七月大歌舞伎 
岡仁左衛門の絵本合法衢を南座へ見に行った。原作は四世鶴屋南北。仁左衛門の演技も素晴らしかったが、鶴屋南北のダークな世界観、それを表現するための演出もよかった。
話題となった阿弖流為やスーパー歌舞伎などもちょくちょく見たが一番印象に残ったのはやはり仁左衛門である。
http://www.kabuki-bito.jp/news/2015/05/post_1409.html


リチャード二世

蜷川幸雄演出、さいたま芸術劇場にて。若手とシニアが演じるシェイクスピア。
『リチャード二世』にあまり馴染みがないどころか今まで歌舞伎以外の演劇を見たことがなかったが、幕が開くと同時に引き込まれた。異国の物語を日本語で演じる不自然さを逆手にとったダイナミックな演出、俳優たちの迫真の演技、物語の骨太さは時間を忘れさせるものだった。
http://saf.or.jp/arthall/stages/detail/2040




1 件のコメント:

  1. 加藤さん、はじめまして。学生時代からフォローさせていただいております。現在は、学生としてヨーロッパに滞在されているのでしょうか。

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