20110214

忘却に対する抵抗



わたしは人一倍、記憶について執着心が強いと思います。
以前から「記憶と忘却」についてはたくさん考察してきました。
記憶は時に自分で書き換えてしまうもので、美化したり、卑下したり。
している最中大変だったことも終わってみれば、いい思い出。
これもしんどい→うれしいへの記憶の書き換え。
「memorize」とはとても流動的な行為。
自分自身で書き換えた記憶は何かしらの無意識が働いてそうしたのだろうし
忘れるということ以上に変わってしまった記憶は忘却でもある。
ありのままを完璧に記憶するのは不可能ということ。
誰かを悼む時も、何か心に残るニュースや、嬉しい、悲しいなど激しい感情を覚えたときはいつもそう思います。

でも昨日もつぶやきましたがよく物事を忘れることは
「即ち、過去に共有できていたものが、リアルタイムで共有できなくなるということ」です。
空気とか触覚、嗅覚的なものは特に。
視覚はスクリーンキャプチャのようにメモライズされていくから、残りやすい。
だから逆に視覚以外に訴え続ける記憶というのは、とても強い印象として残りやすい。
「あの音楽を聴いたら○○を思い出す」「このシャンプー匂いは○○を思い出す」はその典型でしょう。

今回の展示では作品の周りに鏡を張り巡らせるという演出を行いました。(写真では伝わりにくいですが)
これは、どの位置で作品を見ても、人でなく、自分の気配が感じられるという工夫です。
「気配の記憶」 。そんな空間を使って三次元的に観客に働きかける演出ができるのが、展覧会の醍醐味のような気がします。

タイトルにも書いた「忘却に対する抵抗」 は敬愛するキュレーター、ハンルウルリッヒオブリストの言葉です。
たとえば絵画なら、陶芸なら買うことができる。
買って、持って帰ることができる。そうすることによって永久の記憶が保障される。
でも、展覧会は持って帰ることができない。
これが展覧会が立ち向かうべき一番大きな課題です。
だから、絵画にできないことを展示会では積極的にアプローチしていかなければならない。
単純に「感動、共感」だけではゆるい、ということです。
そう考えれば、美術館のギフトショップでポストカードに群がる人々の無意識に起こる購入理由が少し腑に落ちますね。

昨日も記憶についてツイートした時、アートに携わる方から(@denovejapanさま )
アーティストの「アーカイブ」創りが一層重要なのだと思いますよ〜。説明責任Accountabilityなんてのもその内の課題でしょうね。アーティストトークもやれば良いという物ではない。」とのご意見を頂き、一層その重要性を再認識しました。



そこで、まず手始めに、自分のustをアーカイブ、資料を添付してみようと思います。

まず学芸員になるための資格課程などはこちら。
その中で一番実戦的な授業、博物館実習について

とても参考になった展示会の作り方を実戦的に勉強できる本 美術手帖 2008年 02月号
また、言葉に詰まってしまって言えなかったオブリストの「移動型」展示会のタイトルは「cities on the move」でした。
また、オブリストとホウ・ハンルウの対談記事(とても良い)がartitにあるので興味がある方は是非ご覧下さい。
また、オブリストのインタビュー集も良書なのですが、
現在取り扱いがないということ。
しかし、その概要をまとめたサイトがあります(とても良い)
あとは彼へのインタビューに字幕をつけて下さったものがあります。

 

それから、展示会史についてはこの本、 美術手帖 2007年 12月号 一番番ざっくり分かり易く、なおかつキュレーターの仕事についても書いています。追加して、展覧会史となると、やはり一番とっつきやすいのはヴェネチアビエンナーレ、その上日本に特化したものが最近出版されて、展覧会史のイメージがつかむことができるであろう良書が出ています。ヴェネチア・ビエンナーレ―日本参加の40年
個性的なキュレーター、ヤンフートが活躍する美術館
ヤンフートの具体的な活動については椹木さんがARTitの瀬戸内美術館の批評にて、少し触れておられます。
そしてそこで私が見た展示、XANADU!について
ついでに言うと、私がとっても好きなアートセンター

金沢21世紀美術館、現代美術館の成功例
蓑豊氏の著書
金沢21世紀美術館の具体的な経済効果等
関連して、最近は十和田市現代美術館も同じように成功しているようです
でもやっぱり現代アートの美術館といえばLosのMOCA(The Museum Of Contemporary Art)ですよね。
村上隆さんも展覧会を行っています。

リンクばかりで申し訳ないですが、こんな感じでしょうか。
何かしら、知識の足しになれば幸いです。
これからしばらくはこんな感じでキュレーション展のアーカイブ記事を書きます。

よろしくお願いします

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