20110116

いいものについてのこうさつ

文字ばっかりが味気ないから写真を載せようと思うのですが、なかなかいいのがないです
だから楽しそうな写真をとりあえず、貼りますw
2009年イギリス。一昨年の写真。語学学校卒業式。
ドイツ人・フランス人・日本人。
違う文化を持った人達と話すとインスピレーションがどんどん湧いてくる。
素敵。


今日はいいものについての考察。
この前ツイッターでいわゆる「いいもの」っていうのが理解できないと言われ、ハッとしました。
たしかに私もアートを勉強し始めた時は何故それがいいのか全く理解できなかった。
好きな絵は唯一、ムンクの「夏の夜/声」だけでした。
この作品にはグッと引き込まれるものがあって、ムンク展で初めてみたときはしばらくそこから離れられなかったものです。
そういった実際の体験があればこれがいい!と言いやすいのですが、星の数ほどある作品から選別された美術館で展示されている作品を見ても全く惹き付けられるものがなく、何がよくてこれを選ぶのだろうと思うことは多々。
しかし、美術の歴史やアートの理論を学び、実際に意識してアートを見ていくことで、ピンとくるものはどんどん増えてきました。
例えば最近のものでは最近ターナー賞を受賞したトマ・アブツの抽象画。


正直この画像を見たときはかなり興奮しました。
今までこんなに表現の根源に迫った抽象画はあったでしょうか。
凝視すればする程、味のある作品で、また抽象画は大きいものが主流ですが、彼女の作品はこぢんまりしている。
小さいながらも生命を凝縮したような表現。

とか言っても、アートに興味のない人からすれば全く説得力がないんですよね。
そのものがいいか悪いかは正直、「数を見れば」分かるようになると思っています。
0000の谷口さんに「見る目をつけたい」と相談したところ、
「何か作品を買って、毎日意識しないでもいいから見ることが大切」とのアドバイスをいただきました。
そうすることによっていらない表現とかも見えてくると。
そこで家にあった絵画を見える位置に飾り、実践してみたのですが、たしかに効果はあったような気がします。
同時並行して勉強や美術館巡りも多くしたので、どれが一番効果があった、とは言い難いのですが、
ある日突然自分の「見る目」ができました。

こうしてアート界隈の人は自分なりの規準を作っていくのだと思います。
ただ、「見てれば分かるようになるよー」って言うのはあまりにも無責任ですよね。
そこで、前ふりは長すぎましたが、少しでも参考になるようにいくつかの例を挙げてみたいと思います。

まず、私が考えるいいものの条件は(何度も言いますが一概には言えません。色んな形態・主張のアートがあるので。)
「美術史的更新」「優れた技術」「他人とは決定的に違う世界観」「そのもの自身の存在感
があるような気がします。
美術史的更新はいわゆるピカソのキュビズムやデュシャンの泉など。
一見すると美術からかけ離れているかのように見える、あまり美しさを感じられないもの。
コンセプトで勝負をかけてくるようなものです。

優れた技術はダヴィンチのモナ・リザやベルニーニのまるで人体かと思うような彫刻技術など。

他人とは決定的に違う世界観は上に上げたトマアブツや村上隆などを挙げられます。

最後にそのもの自体の存在感は大きければ大きいほどインパクトはあるという傾向(バーネットニューマンの抽象画など)はありますが、圧倒されるようなもの。
おおよそこんな感じでしょうか。


それでもピンとこない方はきっといらっしゃると思うので、著名な方々がおっしゃっていたコメントの抜粋をしたいと思います。
「現代アートの舞台裏」という本からの抜粋です。

Q)傑作の条件とは?

「本質的にその作品に注意を払う人々に対して、尽きることのない価値を与えることが証明されたもの。
『おれたちは5年前、あるいは50年前に作られたものだが、そんなこととは関係なく、現在形のままだ』と。」
byロバート・ストー 2009ヴェネチアビエンナーレディレクター


「作品が見る者にあれこれ語りかけるのではなく、鑑賞者が作品を見ることができること。
あらゆる解釈可能という訳ではなく、固定的な意味に限定されないという意味で。」
レベッカウォレン アーティスト


「アートはどれも時間との新たな関係を味わわせてくれるもの」
マーゴット・ヘラー サウスロンドンギャラリー ディレクター


そんな感じで、今日は終わります。
何かスッキリしていただけたら幸いです。



1 件のコメント:

  1. mocoを拝見して、来させてもらいました◎
    以前、コシノヒロコさんに同じ質問をしたことがあって、
    そのときも「良い作品をたくさん見ること」というアドバイスをもらいました。
    それから機会がある限り見るようにはしているのですが、なかなかですね。
    でも、この記事を読んで、少しだけ何か理解できたような気がしています。

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